

佐世保を一望できる“てっぺん”。
標高46メートルの小さな山の上に、築100年を超える古民家が静かに佇んでいます。
この物件を紹介するのは、佐世保に魅了されて2024年に移住し、「大村湾商い暮らし」の運営にも携わっている私、株式会社ナナメの久保です。
実はこの物件は、私自身が所有している建物。佐世保のまちに出会い、この場所の可能性を感じて購入しました。


この場所には、地元の方でも驚くほどの景色が広がっています。佐世保の街並み、港、そして烏帽子岳までを見渡すことができ、まさに360度の大パノラマ。「こんな場所があったのか」と地元の方からも、そんな声がよく聞かれます。
街からさほど離れていないにも関わらず、ここには静寂と落ち着ける唯一無二の環境があります。

もともと、民泊に適した戸建てを探していました。しかし、理想の物件にはなかなか巡り合えず…。そんな中、階段を登り、汗をかきながらたどり着いたこの家に出会い、一目で惹かれてしまいました。
佐世保の全てを見渡せる眺望。そして、心地よく吹き抜ける風。建物に傷みはあるものの、日本家屋の美しさが各所に残されており、長い時間を経たからこそ感じられる深みがあります。


この家は、歴史的なロマンを感じることができるのも魅力の一つです。
売主さんの祖父は、かつて海軍の将校だった方で、戦時中にはここから戦艦「武蔵」の入港を見たという話も聞きました。近隣の方々によると、かつては「山の上には偉い人が住んでいた」とのこと。当時の情景に思いを馳せるのもこの場所の魅力だと思います。
時代とともに、車社会となり階段の多い立地は敬遠されがちですが、この家が持つ背景と魅力は色あせることがありません。

しばらく空き家だったため、屋根の傷みや雨漏りもありましたが、第一期工事として屋根の修繕、畳の張替え、トイレの交換を実施しました。
秋から飲食と宿泊施設を見据えた改修を予定していますが、その前に、この家の「今」の姿を多くの方に体験していただきたく、しばらくの間はレンタルスペースとして活用します。

縁側に腰かければ、海から山へと抜ける風がそっと肌を撫で、心がふっと緩みます。街中にも関わらず喧騒から離れた静かな時間を過ごすには、これ以上ないロケーションです。
例えば、
・ヨガのクラス
・少人数での読書会
・習い事や教室の開催
・創作活動や撮影利用にも最適です

佐世保では、斜面地に建つ家が次々と空き家になっています。
「車が入れないところは要らない」「不便だから住めない」そんな常識が活用を妨げています。
でも視点を変えれば、眺望、風通し、日当たりも良い。
この場所のように、“斜面地の家”の可能性を広げることはできるはずです。
この古民家が、空き家再生のモデルケースとして、多くの人に新しい価値を届けられることを願っています。
(文章 久保暁育)
