よみもの
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「商い暮らし」で何が起きるのか
「商い暮らし」という店舗付き住宅を扱う不動産サイトを立ち上げたのは約10年前。
自分(小薬)がサラリーマンを辞め、個人事業として独立したころの想いが始まりだった。
子供が小学校に通う小さな川沿いの通学路に1軒の古い店舗付き住宅が建っていた。
シャッターが閉まっている空き家で、古い看板から「パン屋+住宅」だったことが想像できる。そこの2階をオフィスにして、1階はカフェにしたら、と妄想して、学校帰りの子供たちや、仕事帰りのパパたちのたまり場になったらとワクワクした。

自分の得意なコト、好きなモノを周りの人に知ってもらい、共有する、ということが
現在の「商い」に近い意味なのだと考えています。その「商い」と「暮らし」が一緒になるのだから、楽しい生活になるに違いない。
一番大きい変化は、その場所で自分の名前で商品(サービス)を売るということだと思う。得意なお菓子をつくって店先に並べる。「私」という人が、こんなこだわりでつくっています、と街にさらけ出す。“私”自身も、その私の“こだわり”も、ましてや住んでいる所まで。周囲のひとからすれば、“私”と“こだわり”が気に入れば、そのお店に並ぶものはたいてい好きで、安心して手にすることができる。

「私」と「街のひと」が繋がることになり、どちらにとってもその街での居場所が増えることになる。知り合いや居場所が増えることは、安心してそのまちで暮らせる
大きな要素であり、そのまちが好きになる理由の一つにもなる。
最近では大手のデベロッパーや住宅メーカーも店舗付き住宅を新築で建てている。
ワンルームを作り過ぎていることにやっと気づいたのかもと少し嬉しくなる。その場所で、「私」と「こだわり」を表現、共有することで、誰かにとっての居場所になり、そのまちを好きになる人が増えたら良いな、と想う。(文章:小薬順法)
