
400年の歴史を誇る焼き物の町、波佐見。
カフェやギャラリー、雑貨店が立ち並び、移住者も増えて、まち全体がいい具合に盛り上がっています。
その田園地帯にどっしりと建つ一軒の古民家。
もともと農家を営んでいたオーナーさんご一家が、四人で暮らしていた家です。
今回案内してくれたのは、オーナーの代理を務める浅田さん。
「新居を建てたので、実家を手放すことにしたんですよ」とのこと。


さらに話を聞けば、ご兄弟はこの家から電気工事の仕事を始め、今では会社を構えるまでに成長したそう。



家の中をよく見てみると、収納扉やちょっとした仕掛けが手作りで、ご家族の器用さがあちこちに刻まれています。


取材の最中、たまたま顔を出したオーナーさんが「近所でも立派な和室にしたくてね」と笑顔で案内してくれたのは、豪華な床柱を据えた和室。
きちんと手をかけて仕上げた空間は、しっとり落ち着いた雰囲気を漂わせていました。

屋根裏には収納部屋があり、立派な梁が見え隠れ。


もともと土間の台所にはかまどがあり、床下は広く掘られていて農機具が収められるつくり。
農家ならではの工夫が随所に見えて、驚かされます。
「子どもが元気に走り回る姿が見たいんですよね」
オーナーさんがふとこぼしたその言葉に、この家への想いがにじみます。
広々とした古民家でのびのび暮らすのもいいし、在宅ワークや農園カフェにしてみるのも面白い。
ここから、また新しい暮らしの物語が始まりそうです。

新しい風が吹き込めば、この家もまた次の物語を紡いでいきそうです。(取材:久保暁育)